乳腺科標榜に関するアンケート調査・2
乳癌術後患者

グラフ1 年齢分布(乳がん術後患者152名)
乳癌術後患者152名の年齢分布を示します。

50歳代の29.6%をピークに、40歳代23.7%、60歳代 21.7%と続き、いわゆる乳癌年齢層の40〜60歳代で75%を占めています。

グラフ2 "乳腺科"があった場合、乳腺疾患を何科で診てもらいますか?
乳腺科と答えた方が81.0%、外科が15.2%、産婦人科が2.5%と圧倒的に乳腺科を受診するという方が多くなります。

グラフ3 "乳腺科"の標榜が認められることを希望しますか?
「希望する」と答えた方は、何と92.8%で、「希望しない」は0%、皆無でした。

グラフ4 術後のフォローアップのために通 っている病院は?
(a)の「手術をした病院」が84.5%と圧倒的に多く、安心感を求めておられるものと思われます。

グラフ5 "乳腺科"が近くにある場合、術後のフォローアップに通 院する病院は?
(a)手術をした病院が46.6%と減少し、(c)"乳腺科"のある病.医院が12.9%、(d)"乳腺科"のある病.医院と手術をした病院との連携のもとにフォローアップを受ける体制を選択される方が34.8%と、(c)と(d)を合わせると、47.7%と(a)を上回ります。

グラフ6 "乳腺科"と手術をした病院との病診連携のもとに通 院することを希望しますか?
「希望する」と答えた方が77.0%、「希望しない」と答えた方はわずかに2.6%でした。

グラフ7 手術までに受診した"科"を選んだ理由は?
(b)の「外科が主に乳腺の病気を診ることを知っていた」が42.5%と約半数近くを占め、次いで(c)の「乳腺の病気は産婦人科が診ると思っていた」が18.1%でした。(g)の「乳房を診てもらうのが恥ずかしいので産婦人科へ行った」が5.0%で、(c)と(g)とを併せて産婦人科へ受診した方が23.1%となります。








上の結果からまとめてみますと、乳腺の病気で受診する場合、半数近くの方は外科へ行こうとされますが、産婦人科が診るものだと思っている方も20%近くあり、恥ずかしさも相まって産婦人科へ受診する方が1/4近くになります。

こりを感じて初めて病医院にかかる場合、何科であってもよいのですが、何か所見があれば、外科に紹介される場合がほとんどだと思われます。そこで手術ということになれば、また違った病院に紹介されて....というステップを踏むことになります。はじめから乳腺の病気を検査して診断してもらえるところへ行けば、手術をしないのならそこでのフォローアップ、手術をするならしかるべき病院へ紹介されて....というように2つの病医院で完結することになります。このように患者さんが受診すべき科がはっきりしているなら、時間的、経済的そして病気に対しても患者さんの受けるメリットは増すものと思われます。

術後の患者さんはこういった状況を自ら経験されているものですから、グラフ2や3でみられるように、“乳腺科”があれば81%の方が“乳腺科”を受診されますし、また92.8%もの方が“乳腺科”の標榜を希望されたのだと考えます。
ここまでは受診から手術までの間における“乳腺科”の存在のメリットでありますが、では術後のフォローアップにおいては、何かメリットがあるのかどうかを考えてみたいと思います。

年わが国における乳癌の増加は顕著で、女性の癌のトップになる日も近いと考えられています。乳癌になった多くの方は大病院で手術を受け、術後も同じ病院でフォローアップされることが多いようですが、乳癌の場合、腹部臓器の癌とは異なり比較的予後が良いため、一つの病院における術後患者の数は右肩上がりで増加して行きます。しかしながら、術後のフォローアップに携わる医者の数は、最近の医療状況から考えて増える見込みはありません。従って、一人の医者が診る患者の数は増加して行き、物理的に無理が生じてくるため、一人の患者さんの診察時間が短くなったり、通院間隔があくということになります。これでは再発という不安を抱えている患者さんの気持ちは助長されてしまいます。ましてや最近多くなっている乳房温存手術を受けたあとの局所再発に対するチェック体制はどうなってゆくのでしょうか?

こでアンケートの結果をみてみますと、グラフ4で示しましたように、術後患者さんは84.5%の方が手術を受けた病院でフォローアップされています。手術された側からすれば、やはり手術をしてもらった医者のいる病院でフォローアップされる方が安心感があると思われます。ところがグラフ5でみられるように、“乳腺科”を標榜する病医院が近くにあれば、手術をした病院でフォローアップしてもらう方は46.6%に減少し、47.7%の方が近くの“乳腺科”でフォローアップしてもらうと答えています。ただし、手術をした病院から全く離れてしまうには不安が残ると思われ、“乳腺科”の病医院と手術をしてもらった病院との病診連携のもとにフォローアップされるほうが良いと考える方が多いようで、こういった形でのフォローアップ体制を希望する方が77.0%もおられます。この数字は“乳腺科”というものの概念が不明瞭でしたので、どういったところまで診てもらえるのかといったことがわかれば、もっと高い数値になるのではないかと思われます。

のように、“乳腺科”の存在は術後のフォローアップにおいても患者さんのメリットを増すことになります。通院に要する時間の短縮、待ち時間の短縮、乳腺以外の症状の相談や検査、手術をした病院とのコンタクト等々、また手術を受けた病院の主治医が転勤等でいなくなっても継続的に診てもらえる所があれば、安心して治療に専念できます。

上、アンケートの結果をもとに私の考察をまじえて御報告させていただきました。今後とも“乳腺科”標榜実現に向けて微力ながら努めて参りたいと思っておりますが、皆様のご意見等ございましたら私のところまでお寄せ下さい。