あけぼの会<AKEBONO NEWS>








No.88, Mar. 25, 2000

「乳腺科」標榜はどうなった?

みなさんはもう、「乳腺外来」と言う言葉を、当然の如くにお思いになっておられることと思います。しかしよく見て下さい。病院・医院の外の看板に、「乳腺科」や「乳腺外来」と書かれているのをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?

こうした標榜は医療法で認められていないため、院内表示は出来ても、院外では禁止されているのです。だから、初めて乳腺を診てもらおうと思った方が、どこへ行けば良いか迷ってしまうのです。私が2年前に読売新聞等へ掲載し、乳がん検診学会で報告した、4000人余りの方からのアンケート調査結果 では、一般女性の85%、乳がん術後患者さんの93%が「乳腺科」の標榜を希望されています。住民投票でもこんな高い数字は出ません。厚生省は、表に出てこなかった、国民のこの強い要望をどう捉えているのでしょう?

私が開業した2年前に、タウンページには「乳腺科」や「乳腺外来」は載せられませんで、「乳がん相談」でした。それでも、若い方を中心にこれを見て遠くから受診されました。しかし、昨年より、これも厚生省通 達で駄目になり、現在は「バスト相談」、「がんの健康相談」となっています。「バスト相談」は、もともと豊胸術等の形成外科の広告用に認められていたもので、「バスト」+「がん」で「乳がん」となり、なぞなぞか笑い話のようになります。

そして、最近は広告規制緩和について議論が戦わされていましたが、医者の出身大学の表記まで認めようと言う、学歴偏重を助長するような案も出て、暗礁 に乗り上げています。

ところで、私が「乳腺科」標榜を主張するきっかけの一つとなった他科医の見逃しは、今でも認められています。”大丈夫だろうけど、念のために専門の先生に診てもらっておきましょう”と、紹介されて来られた方の中にポツリポツリ乳がんの方がおられます。紹介して下さっているだけ、まだ患者さんには救いがあります。

他科の先生が診てはならないと言った狭い考えではないのですが、たとえば、乳がん学会に入っておられたり、乳がん学会認定医となっておられる先生の数は非常に少ないのが現状です。だからこそ、堂々と「乳腺科」を標榜されるような先生の増えることを望んでいますし、乳がんの早期発見や術後のフォローアップ、そして病院での待ち時間短縮と言ったメリットを、患者さんが享受出来るような受け皿体制を整えて行く必要があると考えています。最後に、これを実現するには、患者さん達の声を大きくすることが最も効果 的であることを付け加えておきます。