「乳腺科」を設けて









1998年5月29日 読売新聞より。

乳房にしこりや痛みを感じた時、どの診療科に行きますか?西田院長が約3,700人の女性を対象にこんなアンケートをしたところ、正しく「外科」と答えたのは3割余りにとどまった。「女性が受診しやすいよう、専門の“乳腺科”を設け、表示することが望ましい」と院長は話している。

西田院長は以前総合病院の外科で乳がん患者の診療にあたってきた。他の科で「乳腺症」と診断されて安心し、放っている間にがんが進行した患者をみた経験もあり、アンケートを思い立った。1996年夏以降、兵庫県加古川市内で乳がん検診を受けた女性らを中心に協力を求め、3,696人から回答を得た。

「乳房のしこりや痛みなどがある時、何科を受診しますか」の問いに、54.5%が「産婦人科」、36.2%が「外科」を選び、「内科」「皮膚科」と答える人も少数いた。乳腺科があった場合に、何科を受診するかを尋ねると、62.4%の人が「乳腺科」。 「産婦人科」「外科」を選んだ人は、乳腺科が選択肢にない設問に比べて、大きく減った。また「乳腺科」の表示を85%が希望した。

西田院長によると、女性の間には「男性も受診する外科でみてもらうことに抵抗がある」「どこへ行けばよいのか分からない」などの声があるという。「看護婦へのアンケートでも乳腺科を希望する割合が高く、潜在的に強く望まれている」という。

認定医制度など医師側にも動き。

病院が外に向けて「内科」「外科」などと表示できる「標榜科目」は現在38科目。「乳腺科」は認められておらず、乳がん患者でつくる「びわの会」(北海道)が1万2千人の署名を集めて厚生省に要望。3年前の医道審議会に諮られたが、「外科、産婦人科の区別 が必ずしも十分でない」「専門的にみる診療体制が十分でない」として見送られている。

その後、日本乳癌学会の中に「乳腺科標榜小委員会」がつくられ、同学会が認定医制度を設けるなど、医師側にも実現に向けて動きが出ている。また、大学病院などでは乳腺外来を設けるところもあり、専門にみる医師も増えてきた。

乳がんは、日本でも近年増加傾向にあり、21世紀には女性のがんの第1位 になると予測されている。

西田院長は乳がんの術後患者152人にもアンケート。「乳腺科」を望む人は92.8%にものぼった。更に、術後のケアとして、普段は近くの乳腺科で受診し、定期的に手術を受けた病院で特殊検査を受ける「病診連携」体制を望む人が76%だった。

「乳腺科は、手術後の患者の受け皿としても重要。外科や産婦人科の医師、学会、患者会などが協力して働きかけていかねば」と西田院長は話している。