半数以上が産婦人科









1998年5月19日 神戸新聞より。

年々増え続ける「乳がん」。女性なら気になる病気だが、乳房にしこりを見つけた時、本来の診療科である外科に行く人は四割にも満たず、半数以上が産婦人科に行くものだと考えていることが、西田院長の調査で分かった。しかし、“乳腺科”といった専門科目の掲示があればそちらを受診したいと考える人が圧倒的に多いことから「乳がんの早期発見・治療の為にも、専門医が“乳腺科”を掲げることは有効だ」と西田院長は話している。

アンケート調査は、西田院長が稲美中央病院(加古郡稲美町)と大阪曉明館病院に勤務していた1996年夏から1年かけて、乳がん検診に訪れた女性(一般女性)と看護婦計4,000人と乳がん術後患者152人を対象に行った。

まず、乳房のしこりや痛みを感じた時、何科を受診するか聞いたところ、一般女性の54.5%が「産婦人科」と答え、「外科」としたのは36.2%。半数以上が誤解しているという結果が出た。「膣(ちつ)からの異常出血」の場合には97%が「産婦人科に行く」と正しく答えており、いかに認知度が低いかがうかがえる。

また、術後患者のうち23%の人が、「産婦人科の領域だと思っていた」「乳房を見られるのが恥ずかしかった」と産婦人科に足を運んでおり、「何でも見てもらえると思った」と内科に行った人が7%いたことも分かった。

このように誤解する人が多いことについて西田院長は、女性特有の器官に関する病気はすべて産婦人科の領域であるという思い込みが強く、乳腺が外科の領域だとは分かりにくい上、外科イコール「切る」というイメージがあって敬遠するのでは・・・と分析。乳腺が外科の領域であることを広くPRすることが大切としている。

とはいえ、外科医全員が必ずしも乳腺に詳しいわけではなく、乳がん検査に必要なエコーやマンモグラフィー(乳房X線撮影)の機械を備えていない病・医院も少なくない。その結果 、正確な検査結果が得られなかったり、非専門医のもとでの治療中に進行し、専門医に回されるケースも。西田院長は「乳腺に詳しい医師がその専門性をPRできるようになれば、患者がどの科を受診すればいいのか迷うことはなくなるはず」と話し、現在は医療法で認められていない、“乳腺科”の標榜(ひょうぼう=病院外での掲示)の必要性を訴える。

このアンケートでも“乳腺科”があれば、乳房の治療はそちらに行きたいとする人が6割を超え、9割近くの人が専門科目の公示や専門医の存在を表示するように希望。更に、術後患者の8割近くが、乳腺を専門に扱う医師同士が連携して、術後のフォローアップに取り組んでほしいとしている。北海道の患者団体を中心にした“乳腺科”標榜を求める運動も活発になってきている。

「乳がんという病気は外科的な技術ばかりではなく、メンタル面などのきめ細かいフォローも大切で、より専門性が求められる」と西田院長。「病気の早期発見・治療はもちろん、患者のQOL(生活の質)の向上の為にも“乳腺科”の存在は不可欠では」と話している。